破船 / 吉村昭
この本は電車の中できれいな女性が読んでいたので私も読もうと思った1冊です。
おそらく江戸時代の、とある小さな漁村のお話。
その村では魚や貝を捕り、塩を作って生計を立てていますが、決して裕福とは言えず、貧しい生活を強いられています。
彼らの楽しみは何年かに1回やってくるお船様。お舟様が来た時だけは、村中が歓喜に包まれます。
いやー、この設定だけですこし興奮してしまいました。
破船というタイトルなのに、なぜ船が吉兆なのだ?と疑問を感じながら読み進めると、お舟様について、少しずつ説明が加わっていきます。
お船様というのは、難破して村にたどり着く輸送船をさします。
そして彼らはその荷物を強奪し、糊口を凌いでいたのでした。
物語の途中に子供が海でおぼれ死んだり、好きな子が誰かに寝取られちゃったり、不吉がことが起きるに違いない、やめてくれーと思いながら読みました。
最後はなんだか悲しい終わり方ですね。多くのものを失った若者が浜へ漕ぎ出すときの心情を考えると、ぐっとくるものがあります。
お船様の話は実話じゃないのかな。
ずいぶんと古い本なのですがとても楽しめました。彼女は誰かに勧められて読んだのだろうか・・・