蛍川・泥の河 / 宮本輝
初読は高校生だったと思います。
当時よりもずいぶんとおっさんになってなにか新しい発見でもあるかと思って再読しました。
初読後の感想はやはり泥の川の蟹ですね。あの蟹のイメージだけはしばらく頭から離れませんでした。
そしてちょっとだけやらしい表現があって、高校生ながらも興奮した記憶があります。
再読後もやはりあの蟹の印象が強く残りました。
不気味、神秘的、幻想的、狂気、残酷・・・。どれもが少しずつ混ざったような印象で、私の表現力ではうまく表せません。
こういった本を読むと自分が読んだ活字が頭の中で自然な形で映像に切り替わります。
その風景がよければ読了後の感想が良い。悪ければつまらなかったとなります。
なかには全く映像にならない人もいるので、作家との相性もあるのでしょう。
それにしても人の脳みそを直接操作できる文章を書ける小説家というのは、ほんと恐ろしい人たちですよね・・・。