檸檬 / 梶井基次郎
比較的短い小説がいくつも掲載されている本です。
タイトルにもなっている「檸檬」という作品は、一番はじめに記載されているだけあって、強烈な印象が残りました。
レモンの独特の黄色とあの形、あのにおいを文章で表現するとこんな感じになるのですね。
私のような凡人には到底思いつかない表現です。
最後はもう映画のワンシーンですね・・・かっこよすぎ。
作中では檸檬という漢字が使われているのですが、なんとくレィモンとレモンの中に小さな「ィ」を入れて読んでしまいました。
また、色は黄色ではなく、レモンイエローという言葉が使われています。もちろん脳内ではレィモンイエロー。
そんなのどうでもいいのですが。。。
梶井基次郎氏の作品は風景などの自然や無生物をテーマにした小説が多いのでしょうか。
これまで読んできた芥川氏や太宰氏とは少し雰囲気が違う作品ですね。
でもこの時代の小説家っていうのは悩みが多くないと駄目だったんですね。
以前、ブルースを作るのに必要なのは何か?という質問に「pain(痛みや苦しみ)」だと回答している黒人を見たことがあります。
それと同じで偉大なものを作り上げるには喜びよりもpainが必要なのかもしれません。