ぼっけえ、きょうてえ / 岩井志麻子,甲斐庄楠音
ホラー小説です。カタカナにするとなんだかちょっと違和感がありますが、薄気味悪い短編小説が4つも入っている1冊になります。
1作目が本当にぞっとする。読了後の心臓の少し上のあたりのモアモアした感じを一体どう表現したらよいのでしょうか。
年増の女郎が一人でしゃべっている形式で話は進みます。この女郎の話し方が怖いし、話の内容も本当にひどい。
人間の真っ黒い部分のみ抽出してさらに煮詰めたようなそんな話が小出しにされ、本当に気がめいってしまいます。
彼女の話を聞いている(読んでいる)うちに、彼女のイメージがどんどん広がり、ラストに満を持して姉が登場するのでございます。
この人もどきの姉を想像するだけでも恐ろしいのに、あんなことをされたら…。
私が客だったら心臓が止まってしまうのじゃないかと思うくらいドキリとしてしまいました。
3つ目の漁村の話もよかったのですが、長くなりすぎるので割愛です。網にかかるんだろうと思ったらやっぱり。。。
いやいやあの姿を想像したらまた鳥肌が立ちそうです。
どれも秀逸な作品でしたので、真夏の寝苦しい夜に読むのにぴったりです。映像ですと作り物感がどうしても残ってしまいますが、活字の場合は自分の想像力次第。
怖い話を書ける作家というのは、また特殊な能力が必要なのでしょうkね。
wikiで調べてみると、この「ぼっけえ、きょうてえ」は映画化もされているんですね。アメリカではその残酷さゆえに放送中止になってしまったとのこと。
また、第6回日本のホラー小説大賞受賞作ということです。
こんな大賞もあるのですね。
過去の受賞作品には面白そうなものがたくさんありました。怖いもの見たさでちょっと挑戦してみようかな。