日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ / 青山透子
私がまだ小学生のときだったと思います。
叔父さんがなつやすみに合わせて帰省した夜のこと。朝までラジオがつけっぱなしにされていて、うるさくて寝られなかったことを良く覚えています。
翌日、子供ながらに飛行機が墜落して大事件が起きていることをしりました。
カタカナの名前で被害者らしき人がずらずらと表示されるのを見て、底知れぬ恐怖と薄気味悪さを感じたことを良く覚えています。
親からあまり見るなといわれて、なんとなくテレビから遠ざけられたのは、地獄絵図と化した現場の映像を見せたくなかったからでしょう。
そんな思い出が残る、日航機墜落事故。
タイトルになんとなく惹かれて手にとったこの1冊。
私は陰謀説は信じない派なのですが、この事故は確かに不可解な点が多い。考え直さないといけない点はたくさんあると思いますが、首相の批判など政治的な面が出てきてしまうとちょっと信憑性を疑ってしまう。
また、自衛官を悪者にしたいのが透けて見えるのもちょっと気になりました。
あれほどの大事故ですから誰かのせいにしたいのはとても良くわかります。著者の青山氏も、すばらしい先輩方の死を現実のものとして受け入れがたいのだと思います。
だからといって陰謀説にまで発展してしまうのは行き過ぎてしまっている感じが否めません。アメリカの支援を断ったのも当時の国際情勢を考えれば当然といえると思います。
自衛官がすぐに飛べなかったのも、当時はそういった訓練が十分でなかったと聞いています。
さらに、数年後に航空機内の写真が出てくることも出来すぎているような気がします。
本当ならばもっともっと先に検証されているはずなのに、なぜこの時期に?と思います。
こういった出所の怪しい情報が増えてくると、あのギリギリの状態で生存することを信じた客室乗務員だけでなくパイロットや乗客までもがさげすまれているような気がして。
星になってしまった彼女達が戻ってくることは決してありませんが、あの事件以降、同じような事故が再発していないことを考えると、本件を重く考え、多くの人がより一層努力をするようになり、それが継続して続けられているということではないでしょうか。
生き残った4名の状態も気になります。いまだに「真実を話してくれ」といわれるのでしょうか。
彼らの話が一切出てこないのも気になります。早く忘れたいというのが本当のところでしょう。風化させてはいけないと思いつつ、そっとしておいてあげたいという思いも強く感じてしまいます。
それにしても大事故の際には必ず発生する陰謀説。一体誰がどんな目的ではやらせるのでしょうか。震災時のデマのような後味の悪さばかりが残ってしまいました。
陰謀説はもうこりごり。次はもう少し軽い感じのものを読もうかな。