あしながおじさん
背の高いおじさんが、貧しい女の子を金銭的に援助するお話ということは知っていましたが、まともにこの本を読んだのはこれがはじめて。
ちょっと斜めに解釈すれば援助交…いやいや、援助文通と取れる内容ですが、ジュディの手紙は読んでいるこちらまでテンションが上がる内容ですね。
最近の若い人はこんなに素直ではないのかもしれませんが、自然を美しいと感じ、学びの尊さを知り、お世話になった人々へのお礼の心を忘れない。
かなり理想のお嬢様だと思います。
孤児院の子供から大金持ちの妻になるという、白馬に乗った王子様系のお話ですが、こんな素敵な女性と結婚できたあしながおじさんこそ、一番の幸せものなのではないでしょうか。
訳もすばらしいと思います。入学して1年目はどこか浮き足立ったような感じが伝わる文章でした。
2年め、3年目で叔父さんに対する反抗心や自立心の芽生えを読み取ることが出来ます。
そして4年目。もう本当に大人の女性という印象を受けました。
具体的にどこ?と言われると非常に難しいのですが、訳者もかなり意識をして文言を選んでいると思われます。
あしながおじさんの正体は読みすすめるうちになんとなく予想が出来ました。
年齢が15も離れているので、ジュディから見れば「おっさん(おじさん)」だとおもいますが、あしながおじさまというタイトルのほうがぴったり合っているかもしれません。
ですが、なぜ彼は最後まで正体を明かさなかったのでしょうかね。彼女が小説家としてしっかり自立するのを待っていたのでしょうか。
秘書を通じて嫉妬するくらいなら大学2年あたりで、さっさとカミングアウトして自分のものにしてしまえばよいのにとちょっと思ってしまいました。
こんな風に引っ張るあたりは、お国柄なのかもしれません。
ああ、若いっていいなぁ。