ハーモニー / 伊藤計劃
舞台は現在から数百年後の世界。
人々の体には「WatchMe」と言われるソフトソフトウエアがインストールされ、それが四六時中体内の状況をモニタリングしています。
完璧にカロリー計算された食事。仕事や人間関係でストレスを受けたらカウンセリングを受けるように警告がでる。お酒やたばこなどの嗜好品は体を傷つけるものとして徹底的に排除。悪いことができないようにランク付けされた人間。
平和に見える世界なのですが、若い彼女たちにとっては違和感のある世界に見えてしまいます。
そんな彼女たちが考えた抵抗手段は「自殺」。3人の女性が自殺を図るのですが、1人を除いて失敗してしまいます。
あまり書くとネタバレになりますので、このへんにしておきます。彼女たちが大きくなってからが話の中心で、上記内容はその序章にすぎません。
インターポールだの、改造された動物だの、ぶっ放されるRPGだの、男子が好きそうな話題もてんこ盛りです。
本文にはxmlタグが含まれており、少し違和感があったのですがその理由が最後で明らかになります。
また、哲学的な要素も含まれている内容で、最後まで楽しく読めました。秋の夜長におすすめの1冊ですよ。
もともとは鮮やかな赤をした表紙につい惹かれて手に取ったのですが、私が借りたものは表紙のカバーがついていなかったみたいです。赤い表紙のハーモニーは見つかりませんでした。
あと、伊藤氏といえばタイトルが秀逸な虐殺機関。
それよりもこちらの本のほうがはまりました。おすすめです。