幸福な朝食 / 乃南 アサ
乃南氏の書籍は書店などでたくさん並んでいるのですが、読むのははじめてだと思います。
はじめてなのだからデビュー作から読もうかと思い、手に取った1冊です。
小さいころから美人で芸能界入りを考えていた志穂子。
彼女にそっくりなマリ子が1年先に芸能界デビューしてしまい、彼女は夢をあきらめざるを得ませんでした。
人形師として成功したかに思えた志穂子ですが、話が進むにすれ少しずつ壊れていってしまいます。最後はもう自分が何者かわからないくらい錯乱してしまいます。
狂気という言葉がふさわしい。読んでいるこちらもなんだか薄気味悪さを感じるような内容でした。
一つわからなかった表現がありました。弓子の描写で、「薄いタオルケットを両足で挟み込み、ねじり上げる形で自分の下腹部に押しつける」ってあるのですけど、これっていったいどういう状態なんだろう。
本文中に2回も出てくるので、何かしら意図があると思うのですが・・・。
人形系のお話としてはコッペリアがお気に入りです。それとはまた違った味のある作品ですね。
人形+狂気がお好きな方はトライしてみてください。