いもじろうの読書ログ

人生最高の一冊が見つかるまで

生涯投資家 / 村上世彰

 

生涯投資家 (文春e-book)

生涯投資家 (文春e-book)

 

 アメリカはたくさん儲けてたくさん使うのが正義と言う考え方です。

一方日本ではお金を儲けることをあまりよしとしない風潮があります。

TVに登場するようなドハデな社長には「社員に還元してやれよ」と非難が集まります。


私の知り合いの小さな飲食店の経営者でさえ、新しい車を買うと「車買うくらいなら(商品を)もっと安くしろ」と影で言われたり、「俺らが支払った金で買ったんだろ?」と皮肉をこめた言葉を投げかけられたりします。

 

日本がおかしいのか、それともこの書籍で比較対象として挙げられているアメリカがおかしいのか。


村上氏といえば、堀江氏と並んで連日テレビで報道されていたので良く覚えています。確かインサイダー取引で逮捕されたはずだがと思いこの本を手に取ってみました。

 

逮捕されたんだから、悪いことをしたんだろう。
金儲けのことしか考えていない酷いやつだというのが読了前の村上氏に対する印象です。

 

この本を読んでみて村上氏側の意見がどれだけ捻じ曲げられて報道されていたかが良くわかります。

 

TBOや買収、M&Aなどの企業への投資に関わる技術的な点は難しすぎてわかりませんが、彼にはしっかりとした信念があり、それに従って行動したまで。

 

視聴率を集めたいがために、軽々しく、面白おかしく彼を報道するのは間違っていますね。


そのくらい偉大な投資家でした。

 

企業に勤める人間が給料をもらうように、彼はお金を動かしてお金を得ていただけです。

 

過去に官僚をやられているということも知りませんでしたし、裁判にかなり長い時間がかかっていたこと、そしてその影響。

 

出所後も精力的に活躍し、クラウドファウンディングの元を作ったり、NPO法人を立ち上げて災害支援をしたりと活動は多岐にわたりました。

 

メディアで報道されているような上っ面の情報だけで判断してしまっていたことを恥ずかしく思いました。

 

現在は娘さんも活躍されているようですが、村上氏本人もまだまだもの言う株主として力は衰えてはいません。

 

精力的に世界を回り、タイトルどおり生涯投資家を貫いてくれると思います。
ネットで調べたところ、現在の村上氏は白髪となりずいぶんと雰囲気が変わっていました。

 

しかし、あの眼光は以前と変わらないような気がします。
村上氏と比べるのもおこがましいですが、私もわずかながら株式投資をしています。

 

なんとなく売買をしているためか、元本は減る一方です。

 

たまに送られてくる企業からのIRレポートくらいはきちんとと目を通し、与えられた議決権もしっかりとした意思を持って行使できるようにしようと思います。


村上氏に対する意識が大きく変わった1冊になりました。